ホーム分野別記事一覧顧問弁護士サービス弁護士紹介YouTubeメルマガお問い合わせ
メルマガ登録(無料) 無料相談・お問い合わせ 電話 03-6824-4639(平日10:30–17:00)
化粧品・健康食品

化粧品・健康食品の景品表示法とステマ規制 ― 優良誤認・No.1表示・体験談・不実証広告・課徴金・特定商取引法の最終確認画面

「顧客満足度No.1」「医師の90%が推奨」「使用前後の写真」「インフルエンサーの投稿」「初回限定500円」――化粧品・健康食品のECで売上を左右する要素は、同時に景品表示法と特定商取引法の調査対象になりやすい要素でもあります。2023年10月にステルスマーケティング規制が始まり、2024年10月には景品表示法の改正で直罰規定と確約手続が導入され、消費者庁の執行は強まっています。この記事では、優良誤認・有利誤認と不実証広告規制、No.1表示・体験談・ビフォーアフターの扱い、ステマ規制の運用基準、課徴金と確約手続、特定商取引法の最終確認画面まで、D2C・EC事業者が点検すべき事項を条文と消費者庁資料に沿って整理します。

この記事の結論

化粧品・健康食品の広告は、景品表示法5条1号(優良誤認)・2号(有利誤認)・3号(ステルスマーケティング告示、2023年10月1日施行)で規制され、効果を示す表示は消費者庁の求めから原則15日以内に合理的な根拠資料を提出できなければ優良誤認とみなされます(7条2項)。違反には措置命令と公表、売上額の3%の課徴金、100万円以下の罰金(直罰)があり、ECの申込画面には特定商取引法12条の6に基づく最終確認画面の表示義務が別途課されます。

景品表示法の基本 ― 優良誤認・有利誤認と不実証広告規制

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)5条は、事業者が自己の供給する商品・サービスについて、次の表示をすることを禁じています。

  • 優良誤認表示(1号):品質・規格その他の内容について、実際のものより著しく優良と示す表示、または事実に相違して競合他社のものより著しく優良と示す表示。化粧品の効果、健康食品の機能、「No.1」「〇%が実感」がここに入ります。
  • 有利誤認表示(2号):価格その他の取引条件について、実際のものや競合他社のものより著しく有利と誤認される表示。実績のない「通常価格」との二重価格、「初回500円」だけを強調して定期縛りを隠す表示が典型です。
  • 指定告示(3号):内閣総理大臣が指定する表示。ステルスマーケティングはこの3号の告示として規制されています。

効果・性能に関する表示には、不実証広告規制が重なります。消費者庁長官は事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、提出がなければその表示は優良誤認表示とみなされます(7条2項)。消費者庁の運用指針は、提出期限を求めた日から原則15日後とし、合理的な根拠と認められるには、提出資料が客観的に実証された内容(学術界・産業界で一般的に認められた方法による試験・調査の結果、または専門家・専門機関の見解や学術文献)であること、表示された効果と実証された内容が適切に対応していること、の二要件を満たす必要があるとしています。広告を出す前に、この二要件で自社の根拠資料を点検しておくのが実務の出発点です。

ポイント

景品表示法は「嘘をついたか」ではなく「消費者が実際以上に良い・得だと誤認するか」で判断されます。社内に悪意がなくても、15日以内に客観的な根拠資料を出せない強調表現は、それだけで違反と扱われ得ます。

No.1表示・体験談・ビフォーアフター ― 根拠の作り方で結果が変わる

消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。令和5年度に措置命令を受けた44事業者のうち13事業者がNo.1表示関連で、いずれも「イメージ調査」(商品のウェブサイトを見せて印象で選ばせる調査)を根拠に「顧客満足度No.1」等と表示していました。報告書は、4割を超える消費者がNo.1表示を見て「実際の利用者に調査をしている」「他社商品より優れている」と受け取ること、広告主の多くが調査の質問項目や比較対象を把握しておらず、調査会社の勧誘を受けて1フレーズ10万円から数十万円で表示を始めていたことを指摘しています。「医師の90%が推奨」といった高評価%表示も、約5割の消費者が医師の専門的な根拠があると受け取るため同様の問題があるとされました。

表示の類型問題になりやすい点根拠として求められる水準
No.1表示(満足度・人気・おすすめ)実際の利用者でない回答者による印象調査、比較対象の恣意的な選定、調査内容を広告主が把握していない実際の利用者を対象とし、比較対象・調査時期・方法が表示と対応した客観的な調査。調査会社任せにせず広告主が設計を確認
高評価%表示(医師の〇%が推奨)回答者が医師か確認されていない、商品の内容ではなくイメージで回答している回答者属性の確認と、商品の内容に基づく評価であること
体験談・お客様の声好意的な回答だけの抜粋、効果を断定する個人の感想。健康食品・化粧品では薬機法の効能範囲の問題も重なる体験談を集めただけでは客観的な実証とは認められないのが原則。効果の根拠は別に試験・調査で用意する
ビフォーアフター写真撮影条件の違い、加工、効果を断定する文言撮影条件の統一と、効果の根拠資料。化粧品は56項目の効能範囲、健康食品は医薬品的効能の禁止と整合させる

化粧品・健康食品では、景品表示法の根拠の問題と薬機法の表現の問題が同時に生じます。「シワが消えた」という体験談は、根拠があっても化粧品で表現できる効能の範囲外ですし、「血圧が下がった」という声は健康食品では医薬品的効能の標ぼうになります。根拠の有無を確認する前に、そもそも表現できる効能かを確認する順番が大切です。

ステルスマーケティング規制 ― 「事業者の表示」になる場合と明瞭な表示の方法

2023年10月1日、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)が5条3号の指定告示として施行されました。規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは原則として対象外です。運用基準は、外形上第三者の表示に見えるものが「事業者の表示」になるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合だとし、SNSや口コミサイトに投稿させる場合、ECサイトのレビューをブローカーや購入者に依頼して書かせる場合、アフィリエイターに委託して表示させる場合を例に挙げています。明示的な指示がなくても、対価や関係性から第三者の自主的な意思による表示と認められなければ事業者の表示になります。

明瞭でないとされる例(運用基準)明瞭とされる例(運用基準)
事業者の表示である旨を全く記載しない/アフィリエイトサイトに記載しない「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の文言(ただし表示全体で判断)
冒頭に「広告」と書きながら文中で「第三者としての感想」と記載する「A社から商品の提供を受けて投稿している」という文章での表示
動画で認識できないほど短い時間だけ表示、または中間・末尾だけに表示放送CMのように広告と番組が切り離されている
視認しにくい末尾、小さい文字、薄い色、長文に埋める事業者自身のウェブサイト(ただし第三者の客観的意見に見せた部分は依頼関係の明示が必要)
大量のハッシュタグの中に「#PR」を埋もれさせる―

消費者庁のQ&Aは、EC事業者が直面する場面も答えています。レビュー投稿を条件とするクーポンは通常は違反にならないが、「星5」を条件にすれば事業者の表示として明瞭化が必要であること、「お客様の声」は回答を無作為に選んで内容を変えずに引用すれば該当しないが、好意的な回答だけを選んだり「良い点」だけを抜粋したりすれば該当し得ること、販促を担う役員・従業員が宣伝目的で投稿すれば事業者の表示になり所属の明示だけでは不十分なこと、施行前の依頼投稿も施行後に継続表示されていれば対象になることです。ステマ告示違反は課徴金の対象外ですが(8条1項)、措置命令と社名公表の対象で、投稿内容に優良誤認が含まれれば課徴金も課されます。

ポイント

措置命令を受けるのは投稿者ではなく依頼した会社です。インフルエンサー・アフィリエイターとの契約書に、広告であることの明示方法、使用できる効能表現の範囲、公開前確認への協力を定め、投稿の記録を残すことが防御になります。

違反したときの措置 ― 措置命令・課徴金・直罰と確約手続

  • 措置命令(7条1項):表示の差止め、再発防止策、消費者への周知などを命じられ、事業者名とともに公表されます。違反行為が終わっていても、事業を承継した法人等に命令できます。権限は消費者庁だけでなく都道府県知事にもあります。
  • 課徴金納付命令(8条):優良誤認・有利誤認表示については、対象期間(最長3年)の対象商品の売上額の3%が課されます。150万円未満の場合や、表示が不当であることを知らず相当の注意を怠らなかった場合は命じられません。2024年10月1日施行の改正で、10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が繰り返した場合は4.5%に加算されます(8条5項)。調査前に自ら報告すれば50%減額(9条)、消費者への返金措置を実施すれば相当額が減額されます(10条)。
  • 確約手続(26条〜33条):2024年10月1日施行の改正で導入されました。違反の疑いの通知を受けた事業者は、60日以内に是正措置計画を作成して認定を申請でき、認定されれば措置命令と課徴金納付命令は行われません(28条)。計画どおり実施しなければ認定は取り消されます(29条)。
  • 罰則:措置命令違反は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(46条)。2024年10月からは、優良誤認・有利誤認表示そのものに100万円以下の罰金を科す直罰規定(48条)も設けられています。

調査の連絡が来た段階で、期限内に根拠資料を揃えること、問題の表示を速やかに停止すること、確約手続や自主報告による減額が使えるかを早期に判断することが、結果を左右します。

特定商取引法 ― EC広告の表示事項と最終確認画面

自社ECサイトやモールで販売していれば「通信販売」に当たり、特定商取引法が適用されます。11条は広告に販売価格(送料を含む)、支払時期・方法、引渡時期、申込期間の定め、申込みの撤回・解除に関する事項(返品特約を含む)などの表示を義務づけ、12条は商品の性能や解除条件について著しく事実に相違する表示、著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じています(違反は100万円以下の罰金、72条1項1号)。

定期購入トラブル対策の中心が12条の6です。申込み確定前の画面(最終確認画面)には、商品の分量と11条1号から5号の事項(価格・送料、支払時期・方法、引渡時期、申込期間、撤回・解除に関する事項)を表示しなければならず、申込みであることを誤認させる表示やこれらの事項について誤認させる表示は禁止されています。

最終確認画面に必要な表示(12条の6第1項)定期購入・サブスクでの注意点
商品の分量各回の分量と総回数(または回数の目安)を明示
販売価格(送料を含む)初回価格だけでなく2回目以降の価格と支払総額
支払時期・方法/引渡時期初回と2回目以降の決済・発送時期
申込期間の定めカウントダウン表示は実態と一致させる
申込みの撤回・解除に関する事項解約の方法・期限・連絡先を、リンク先ではなく画面上で読めるように

表示をせず、または不実の表示をした場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(70条2号)、誤認させる表示には100万円以下の罰金(72条1項4号)があり、消費者は誤認して行った申込みを取り消せます(15条の4)。業務改善の指示(14条)や2年以内の業務停止命令(15条)は公表されます。通信販売にクーリング・オフはありませんが、商品の引渡しから8日間は購入者が送料を負担して返品できるのが原則で(15条の3)、「返品不可」等の特約は広告と最終確認画面への表示が効力の条件です。

社内の表示管理体制 ― 景品表示法22条と委託先契約

景品表示法22条は、事業者に表示を適正に管理するために必要な体制の整備その他の措置を義務づけており、No.1表示の実態調査でも、広告主側で22条の管理上の措置が十分にとられている様子はうかがわれなかったと指摘されています。整えるべき仕組みは次の3点です。

  • 根拠資料のファイリング:数値・比較・効果を示す表現ごとに試験結果・調査設計を保存し、調査の対象・時期・方法が表現と対応しているかを公開前に確認する。
  • 公開前の二重チェック:LP・SNS投稿・最終確認画面を、作成者以外が「誤認しないか」「薬機法の効能範囲内か」「表示事項が揃っているか」の3点で確認する。
  • 委託先との契約:広告代理店・制作会社・調査会社・インフルエンサーとの契約に、表示規制の遵守、広告であることの明示、根拠資料の提供、公開前確認への協力、違反時の対応分担を明記する。

当事務所は、企業法務の弁護士チームに医師資格を持つ弁護士が加わり、化粧品・健康食品の広告を景品表示法・特定商取引法・薬機法の三つの観点から一体で確認し、消費者庁からの資料提出要求や確約手続の対応を含めてチャット・オンラインで全国の事業者に対応しています。

よくある質問(FAQ)

調査会社の「No.1調査」を使えば「顧客満足度No.1」と表示しても安全ですか?
調査会社を使っていても安全とは限りません。消費者庁の実態調査では、措置命令を受けた事案はいずれもウェブサイトの印象で選ばせるイメージ調査を根拠にしており、広告主が質問項目や比較対象を把握していませんでした。実際の利用者を対象とし、比較対象・時期・方法が表示と対応している調査でなければ、7条2項の資料提出要求に応えられず優良誤認とみなされるおそれがあります。
インフルエンサーに商品を無償で送っただけでもステマ規制の対象になりますか?
無償提供だけで自動的に違反になるわけではありませんが、特定の相手を選んで提供し、やり取りや提供目的から事業者が表示内容の決定に関与したと認められれば事業者の表示になります。「PR」等の明示を依頼時の条件とし、提供を受けた旨を記載してもらうことが基本的な対策です。
レビュー投稿を条件にクーポンを配るのは問題ですか?
消費者庁のQ&Aでは、レビュー投稿を条件とするクーポンは通常は事業者の表示に当たらず違反になりません。ただし「星5」など評価内容を条件にすると事業者の表示に当たり、広告であることを明瞭に示す必要があります。自社に都合のよい内容への修正依頼も同様です。
消費者庁から根拠資料の提出を求められました。期限はどのくらいですか?
運用指針では、資料の提出を求めた日から原則として15日後が期限です。提出できなければその表示は優良誤認表示とみなされます。並行して問題の表示を停止し、確約手続の申請や自主報告による課徴金50%減額が使えるかを早期に検討してください。
定期購入の初回価格を大きく表示するのは問題ですか?
初回価格の表示自体は禁止されていませんが、最終確認画面には各回の分量、2回目以降の価格を含む支払総額、解約条件を表示する義務があります(特定商取引法12条の6)。定期契約であることを分かりにくくする設計は、同条違反に加え景品表示法の有利誤認にも当たり得ます。

まとめ

  • 景品表示法は「消費者が実際以上に良い・得だと誤認するか」で判断され、効果表示は15日以内に客観的な根拠資料を出せなければ優良誤認とみなされる
  • No.1表示・高評価%表示は、実際の利用者を対象とした客観的な調査が必要。体験談・ビフォーアフターは根拠の問題と薬機法の効能範囲の問題が重なる
  • ステマ規制で措置命令を受けるのは広告主。依頼・対価・関係性があれば事業者の表示になり、「PR」等を表示全体で明瞭にする
  • 違反には措置命令と公表、3%(再違反は4.5%)の課徴金、100万円以下の直罰があり、確約手続と自主報告は早期判断が鍵
  • ECの最終確認画面は分量・総額・解約条件を一画面で読めるように。返品特約は広告と最終確認画面に表示する

広告・表示の規制は、一度違反が公表されると取り戻すのに時間がかかる分野です。日常の広告チェックから委託先契約、調査対応までを継続的に任せたい事業者には顧問弁護士サービスを、個別のLP・最終確認画面の確認や消費者庁からの連絡への対応についてはお問い合わせ(無料相談)をご利用ください。化粧品・健康食品分野の他の記事は分野別ページから、企業全般向けの広告規制の解説は同事務所運営の企業法務メディアの記事広告・表示規制の基本 ― 景品表示法(優良誤認・有利誤認・ステマ規制)・特定商取引法の最終確認画面・薬機法のNG表現をご参照ください。

参考(一次情報)
関連記事・関連ページ
この記事の執筆者
弁護士・医師 澄川 淳矢弁護士法人 越水法律事務所 弁護士・医師(第一東京弁護士会)

京都大学医学部卒業、倉敷中央病院での初期研修を修了した医師であり、弁護士。医療現場での経験を背景に、病院・クリニック・介護事業者・医薬品・医療機器・ヘルステック企業の法務について、医療の実態を踏まえた実践的な助言を行う。

弁護士紹介を見る →
越水 遥
この記事の監修者
代表弁護士 越水 遥弁護士法人 越水法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会)

大手法律事務所を経て越水法律事務所を設立。企業法務全般、M&A、ファイナンス、スタートアップ支援を手がけ、東証グロース上場企業の社外取締役も務める。医療機関・ヘルスケア企業の顧問として、経営の視点を踏まえた法務支援を行う。

弁護士紹介を見る →

※ 本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言・医学的助言ではありません。法令・制度・通知の内容は公開日時点のものです。具体的なご対応にあたっては、最新の法令・通知をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。

← 記事一覧へ戻る毎日の記事をメールで受け取る

医療・ヘルスケアの法務、
まずは無料相談からお聞かせください。

医療法・薬機法・介護保険法・医療広告・労務。病院・クリニック、介護事業者、医薬品・医療機器・化粧品・健康食品メーカー、ヘルステック企業の課題を伺い、優先して整えるべき事項と顧問契約の内容をご提案します。東京のオフィスでの面談のほか、オンラインで全国に対応しています。

お電話(平日 10:30–17:00)
03-6824-4639

✉ メルマガ登録 無料相談