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化粧品・健康食品

健康食品が「医薬品」と判断される基準 ― 46通知の4要素(成分本質・効能効果・形状・用法用量)とNG表現・言い換え・ECでの注意点

「このサプリは食品だから薬機法は関係ない」――健康食品を扱う事業者からよく聞く言葉ですが、正確ではありません。食品として売っていても、成分や表現、形状、飲み方の指示によっては「承認を受けていない医薬品」と判断され、措置命令や刑事罰の対象になります。この記事では、その判断基準を定める厚生労働省通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年薬発第476号、いわゆる46通知)の4つの要素、医薬品的効能効果とみなされるNG表現と言い換え、ECサイトや口コミでの注意点、健康増進法・景品表示法との重なりを整理します。

この記事の結論

健康食品が医薬品に当たるかは、46通知の別紙「医薬品の範囲に関する基準」に基づき、成分本質(原材料)、効能効果、形状、用法用量を総合して判断されます。専ら医薬品として使用される成分を含めば原則として医薬品、それ以外の成分でも「疾病の治療・予防」「身体機能の増強・増進」を標ぼうするか、アンプル等の専ら医薬品的な形状か、服用時期・量を定める医薬品的な用法用量を示せば医薬品とみなされ、薬機法68条・66条違反として措置命令(72条の5)や2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金(85条)の対象になります。

46通知とは ― 健康食品が「医薬品」と判断される仕組み

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)2条1項は、医薬品を、日本薬局方に収められている物(1号)のほか、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」(2号)、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」(3号)と定義しています。ここで重要なのは、医薬品かどうかが「目的」で決まる点です。成分が食品由来でも、疾病の治療や身体機能への影響を目的とする物として売られていれば、法律上は医薬品になります。

人が経口的に摂取する物がこの2号・3号に当たるかの判断基準を示しているのが、厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号)です。発出年から「46通知」と呼ばれ、その後20回近く改正されており、直近では令和2年3月31日(薬生発0331第33号)に別紙「医薬品の範囲に関する基準」が改正されています。通知は、医薬品の該当性は「医薬品としての目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうか」で判断するとし、その認識は成分本質(原材料)、形状(剤型・容器・包装・意匠)、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、販売の際の演述等を総合して判断すべきものとしています。

通知は、食品名目の無承認医薬品が問題になる理由として、消費者が正しい医療を受ける機会を失うこと、不良品・偽薬品が出回ること、医薬品と食品の概念が崩れることを挙げています。広告表現を考えるときは、この規制目的に照らすと判断がぶれません。

判断の4要素 ― 成分本質・効能効果・形状・用法用量

46通知の判定方法は二段階です。第一に成分本質(原材料)を分類し、「専ら医薬品として使用される成分本質」が配合・含有されていれば、効能効果・形状・用法用量にかかわらず原則として医薬品とされます。第二に、それ以外の成分本質のみで構成される物でも、①医薬品的な効能効果を標ぼうするもの、②アンプル形状など専ら医薬品的な形状であるもの、③用法用量が医薬品的であるもの、のいずれかに該当すれば原則として医薬品とみなされます。

要素通知の考え方実務での確認ポイント
成分本質(原材料)解熱鎮痛消炎剤・ホルモン・抗生物質等の専ら医薬品として使用される物、毒性の強い成分、麻薬・向精神薬様作用のある物、処方せん医薬品相当の成分は「専ら医薬品」。ビタミン・ミネラル・アミノ酸は原則除外厚生労働省の「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」で原材料ごとに確認。リストにない新規成分は都道府県薬務担当課を通じて事前照会
効能効果容器・包装・チラシ・インターネット等の広告や演述で、疾病の治療・予防、身体機能の増強・増進を示す表現、またはそれらを暗示する名称・成分説明・製法・起源・記事引用があれば「医薬品的」商品ページだけでなく、名称、成分説明、開発ストーリー、引用した記事・談話まで点検
形状錠剤・丸剤・カプセル剤でも「食品」である旨が明示されていれば形状のみで医薬品とは判断しない。アンプル形状など通常の食品として流通しない形状で医薬品と誤認させる場合は医薬品「食品」の明示があるか。容器・意匠が市販医薬品と同じ印象を与えないか
用法用量服用時期・服用間隔・服用量の記載は原則として医薬品的。「1日2〜3回、1回2〜3粒」「毎食後」「お休み前に1〜2粒」が例示。「食前」「食後」「食間」は医薬品的「1日〇粒を目安に」の目安表示にとどめ、服用タイミングの指示を書かない

通知は、野菜・果物等その外観から明らかに食品と認識される物、特別用途食品、届け出た表示内容を表示する機能性表示食品は原則として医薬品的な目的を有するものと認識しないとし、栄養機能食品の機能表示・摂取目安も医薬品的とは判断しないとしています。

ポイント

4要素は「どれか一つでも医薬品的なら医薬品」の関係です。成分が食品原料であることは出発点にすぎず、表現・形状・飲み方の指示のいずれかで医薬品と判断されれば、製品全体が無承認医薬品になります。

医薬品的な効能効果とみなされる表現 ― 3つの類型とNG例

実務上もっとも問題になるのが効能効果です。46通知は、次のような効能効果が表示説明されている場合は医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなすとしています。

類型通知の例示ECでよく見る形
(一)疾病の治療又は予防を目的とする効能効果糖尿病・高血圧・動脈硬化の人に、胃・十二指腸潰瘍の予防、肝障害・腎障害をなおす、ガンがよくなる、便秘がなおる「血糖値が気になる方の〇〇」「花粉症がつらい方に」「がん予防に注目の成分」
(二)身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果疲労回復、強精強壮、体力増強、老化防止、若返り、新陳代謝を盛んにする、解毒機能を高める、血液を浄化する、自然治癒能力が増す、健胃整腸「免疫力アップ」「デトックス」「代謝を上げて燃焼」「アンチエイジング」
(三)医薬品的な効能効果の暗示(a)名称・キャッチフレーズ(延命〇〇、不老長寿、漢方秘法)、(b)含有成分の説明(体質改善・健胃整腸で知られる〇〇を原料に)、(c)製法の説明、(d)起源・由来の説明(古書に「消化を助け、虫を殺し」とある)、(e)新聞・雑誌記事、医師・学者の談話、経験談の引用「医学博士〇〇氏推薦」、お客様の声の「飲み始めてから血圧が安定」、成分ごとの薬理作用の解説ページ

見落とされやすいのが(三)の暗示です。商品そのものには何も書かず、「成分辞典」のページで成分の薬理作用を解説したり、購入者レビューの「〇〇が治った」をそのまま掲載したりすると、通知が例示する成分説明や経験談の引用による暗示に該当し得ます。ページをまたいで表示全体を見るのが行政の視点です。

言い換えの考え方 ― 「栄養補給」「健康維持」と保健機能食品の例外

46通知は、(二)の類型について「栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない」と明記しています。一般の健康食品(保健機能食品以外)で使えるのは、この栄養補給・健康維持の範囲と、味・原材料の産地などの食品としての事実です。言い換えは「身体の機能に働きかける」表現を「食生活を支える」表現に戻す作業です。

  • 「免疫力を高める」→「毎日の健康維持に」「不足しがちな〇〇を補う」
  • 「血液をサラサラに」「血糖値を下げる」→ 一般食品では表現不可。機能性表示食品の届出や特定保健用食品の許可を検討する
  • 「1日3回、食後に2粒」→「1日2〜6粒を目安にお召し上がりください」

身体の特定の機能への作用を適法に表現したい場合の出口が保健機能食品の制度です。機能性表示食品(食品表示基準2条1項10号)は販売開始60日前までに消費者庁長官に届け出た機能性を、特定保健用食品は健康増進法43条1項の許可を受けた保健の用途を表示できます。ただし機能性表示食品でも、疾病の治療・予防効果を標ぼうする用語や届け出た機能性関与成分以外の成分を強調する用語は食品表示基準9条で禁止されています。

ポイント

一般の健康食品で言えるのは「栄養補給」「健康維持」まで。それ以上の機能を語りたいなら表現を工夫するのではなく、機能性表示食品の届出や特定保健用食品の許可という制度を使うのが正攻法です。

ECサイト・SNS・口コミでの注意点

薬機法66条1項(虚偽・誇大広告の禁止)と68条(承認前の医薬品の広告の禁止)はいずれも「何人も」を主語としており、製造販売元だけでなく、ECモールの出店者、アフィリエイター、インフルエンサーも規制対象です。46通知も、効能効果の表示媒体として「インターネット等の広告宣伝物あるいは演述」を明示しています。ECでは特に次の点に注意が必要です。

  • 商品ページ以外の表示:成分解説ページ、ブランドストーリー、FAQ、メールマガジン、動画の音声も「表示」です。自社の発信全体を点検対象にします。
  • レビュー・お客様の声:事業者が選んで掲載した体験談は事業者の表示です。「血圧が下がった」といった投稿を抜粋して載せれば、経験談の引用による暗示に当たり得ます。
  • 第三者への依頼:インフルエンサーに「飲んで痩せた」と投稿させれば、薬機法上は依頼者・投稿者双方が対象になり、景品表示法上はステルスマーケティング規制(2023年10月1日施行)と優良誤認表示の問題が重なります。依頼時に使用できる表現の範囲を書面で示してください。
  • 検索広告・ハッシュタグ:「糖尿病 サプリ」のような疾病名をキーワードに使うことも、疾病への効能を暗示する表示と評価されるおそれがあります。

厚生労働省はインターネット上の無承認医薬品の広告を継続的に監視し、消費者庁も健康食品等の虚偽・誇大表示についてインターネット監視の結果を四半期ごとに公表しています。「見つからないだろう」という前提は成り立ちません。

違反したときの措置 ― 薬機法・健康増進法・景品表示法の重なり

健康食品の表示に関わる法律は一つではありません。同じ一文が複数の法律に同時に違反することがあります。

法律問題になる表示主な措置
薬機法医薬品的な効能効果の標ぼう等により無承認医薬品と判断される表示(68条)、虚偽・誇大広告(66条1項)措置命令(72条の5)、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金またはその併科(85条)。66条1項違反には対価合計額の4.5%の課徴金(75条の5の2)
健康増進法食品の健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させる表示(65条1項)内閣総理大臣(消費者庁長官)または都道府県知事の勧告・命令(66条)、命令違反は6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(71条)
景品表示法実際よりも著しく優良と示す優良誤認表示(5条1号)。根拠資料を提出できなければ優良誤認とみなされる(7条2項)措置命令と公表(7条)、売上額の3%の課徴金(8条)、直罰として100万円以下の罰金(48条)

消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定)は、特定の用語を一律に禁止するものではなく表示全体から個別に判断するとしつつ、疾病の治療・予防を目的とする効果や、摂取するだけで運動や食事制限なく短期間で痩せられるかのような表示を問題例として挙げています。薬機法で「医薬品的」とされる表現は健康増進法・景品表示法でも「虚偽誇大」「優良誤認」と評価されやすく、都道府県薬務課と消費者庁の双方から調査を受ける可能性があります。

当事務所は、企業法務の弁護士チームに医師資格を持つ弁護士が加わり、成分の薬理作用の説明が医薬品的効能の暗示に当たらないかという医学と法律の双方の視点が必要な判断を一体で行える体制を整え、チャット・オンラインで全国の事業者に対応しています。

よくある質問(FAQ)

成分がすべて食品原料なら、医薬品と判断されることはありませんか?
成分本質が食品原料でも、医薬品的な効能効果を標ぼうするか、アンプル等の専ら医薬品的な形状か、服用時期・量を定める医薬品的な用法用量を示せば、46通知の判定方法により原則として医薬品とみなされます。成分の確認は出発点にすぎず、表現・形状・飲み方の3点も併せて点検する必要があります。
錠剤やカプセルのサプリメントは形状だけで医薬品になりますか?
現在の46通知では、「食品」である旨が明示されていれば、錠剤・丸剤・カプセル剤の形状のみで医薬品と判断することはしないとされています。ただしアンプル形状など通常の食品として流通しない形状で、消費者に医薬品と誤認させることを目的としていると考えられる場合は医薬品と判断されます。
「1日3回、食後に2粒ずつ」と書くのは問題ですか?
服用時期・服用間隔・服用量の記載は原則として医薬品的な用法用量とみなされ、「毎食後」「食前」「食後」は通知が医薬品的と例示する表現です。一般の健康食品では「1日2〜6粒を目安に」のような摂取目安にとどめます。栄養機能食品については、食品表示基準に従った摂取の方法の記載は医薬品的用法用量に該当しないとされています。
購入者レビューに「血圧が下がった」と書かれています。そのまま掲載してよいですか?
事業者が選んで掲載した体験談は事業者の表示として扱われ、46通知が暗示の例として挙げる「経験談の引用」に当たり得ます。疾病や身体機能への効果に触れる部分を除いて掲載するか、掲載を見合わせるのが安全です。好意的なレビューだけを抜粋する行為は景品表示法上も問題になります。
「免疫力を高める」「デトックス」はなぜ使えないのですか?
46通知は、身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果を医薬品的な効能効果の類型とし、「病気に対する自然治癒能力が増す」「解毒機能を高める」を例示しています。免疫力やデトックスの訴求はこれに当たると判断されるおそれが高く、一般の健康食品では「健康維持」「栄養補給」の範囲で表現します。

まとめ

  • 健康食品が医薬品に当たるかは、46通知の基準に基づき、成分本質・効能効果・形状・用法用量を総合して判断される。どれか一つでも医薬品的なら無承認医薬品になり得る
  • 医薬品的な効能効果は、疾病の治療・予防、身体機能の増強・増進、名称・成分説明・記事引用等による暗示の3類型。一般の健康食品で言えるのは「栄養補給」「健康維持」まで
  • 身体の機能への作用を訴求したいなら、機能性表示食品の届出や特定保健用食品の許可という制度を使う
  • 66条・68条は「何人も」が対象。成分解説ページ、お客様の声、インフルエンサー投稿、検索キーワードまで表示全体を点検する
  • 同じ表現が薬機法・健康増進法・景品表示法に同時に違反し、措置命令・課徴金・刑事罰と社名公表が重なるリスクがある

健康食品の表現は、新商品のたびに成分・表現・形状・飲み方の4点を条文と通知に照らして確認する仕組みがあるかで結果が変わります。商品企画やEC運用を継続して確認したい事業者には顧問弁護士サービスを、個別の広告表現や行政からの指摘への対応についてはお問い合わせ(無料相談)をご利用ください。景品表示法・特定商取引法を含む広告規制の全体像は、同事務所運営の企業法務メディアの記事広告・表示規制の基本 ― 景品表示法(優良誤認・有利誤認・ステマ規制)・特定商取引法の最終確認画面・薬機法のNG表現もご参照ください。

参考(一次情報)
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この記事の執筆者
弁護士・医師 澄川 淳矢弁護士法人 越水法律事務所 弁護士・医師(第一東京弁護士会)

京都大学医学部卒業、倉敷中央病院での初期研修を修了した医師であり、弁護士。医療現場での経験を背景に、病院・クリニック・介護事業者・医薬品・医療機器・ヘルステック企業の法務について、医療の実態を踏まえた実践的な助言を行う。

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越水 遥
この記事の監修者
代表弁護士 越水 遥弁護士法人 越水法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会)

大手法律事務所を経て越水法律事務所を設立。企業法務全般、M&A、ファイナンス、スタートアップ支援を手がけ、東証グロース上場企業の社外取締役も務める。医療機関・ヘルスケア企業の顧問として、経営の視点を踏まえた法務支援を行う。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言・医学的助言ではありません。法令・制度・通知の内容は公開日時点のものです。具体的なご対応にあたっては、最新の法令・通知をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。

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