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医薬品・医療機器

医薬品・医療機器の承認・認証・届出とQMS・GMP ― クラス別の規制ルート、第三者認証、省令の要点、承認後の変更手続

医薬品・医療機器を市場に出すには、製造販売業の許可に加えて、品目ごとに「承認」「認証」「届出」のいずれかの手続と、QMS省令・GMP省令・GVP省令に基づく品質・安全管理体制が必要です。この記事では、承認・認証・届出の分かれ方、治験・臨床評価と審査の流れ、各省令の要点、承認後の変更手続を、薬機法の条文と厚生労働省・PMDAの公的資料に沿って整理します。

この記事の結論

品目ごとの手続は、医療機器ではクラスⅢ・Ⅳ(高度管理)と認証基準のないクラスⅡが厚生労働大臣の承認(薬機法23条の2の5)、認証基準のあるクラスⅡ等が登録認証機関の認証(23条の2の23)、クラスⅠが届出(23条の2の12)に分かれ、医薬品は原則として承認(14条)です。承認・認証を受けるには製造販売業の許可と製造所の許可・登録が前提で、承認時と5年ごとにGMP・QMSの適合性調査を受け、承認後の変更は一部変更承認か30日以内の軽微変更届のいずれかで処理します。

品目ごとの規制ルート ― 承認・認証・届出はどう分かれるか

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、業の許可とは別に、製品(品目)ごとの手続を求めています。どのルートに乗るかは、医療機器ではクラス分類と認証基準の有無、医薬品では厚生労働大臣が基準を定めて指定した品目かどうかで決まります。

対象手続根拠条文審査・確認の主体
医薬品・医薬部外品・指定成分含有化粧品(基準指定品を除く)厚生労働大臣の承認14条1項PMDAが審査(14条15項)、厚生労働大臣が承認
高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)、認証基準のない管理医療機器、基準のない体外診断用医薬品厚生労働大臣の承認23条の2の5第1項PMDAが審査(23条の2の5第15項)、厚生労働大臣が承認
厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器・管理医療機器・体外診断用医薬品(指定高度管理医療機器等)登録認証機関の認証23条の2の23第1項民間の登録認証機関(第三者認証)
一般医療機器(クラスⅠ)等、承認・認証の対象でない医療機器・体外診断用医薬品製造販売の届出23条の2の12第1項届出のみ(自己認証)
基準に適合する一部の医薬品・医薬部外品製造販売の届出14条の9届出のみ

どのルートでも、申請者が品目の種類に応じた製造販売業の許可を受けていること、製造所が製造業の許可・登録を受けていることが前提です(14条2項1号・2号、23条の2の5第2項1号・2号、23条の2の23第2項)。外国の製造者が自ら承認を取得し、国内の製造販売業者を選任して製造販売させる「外国製造医薬品等特例承認」「外国製造医療機器等特例承認」(19条の2、23条の2の17)のルートもあり、輸入ビジネスでは国内側の責任主体をどちらにするかが契約設計の出発点になります。

承認審査の流れ ― 申請区分、治験・臨床評価、審査期間の目安

承認は「申請に係る効能・効果(医療機器では効果・性能)を有すると認められないとき」「効能・効果に比して著しく有害な作用があり使用価値がないと認められるとき」「製造管理・品質管理の方法が基準に適合しないとき」などには与えられません(14条2項3号・4号、23条の2の5第2項3号・4号)。申請書には品質・有効性・安全性に関する資料を添付し、その資料は厚生労働省令で定める基準に従って収集・作成されたものでなければなりません(14条3項、23条の2の5第3項)。臨床試験の試験成績に関する資料を集める目的で行う試験が「治験」で(2条18項)、医薬品はGCP省令(平成9年厚生省令第28号)、医療機器は医療機器GCP省令(平成17年厚生労働省令第36号)に従います。

PMDAは、申請資料の書面審査に加えて、添付された試験が適切に実施・記録されたかを確認する基準適合性調査(信頼性調査)と、製造所の製造管理・品質管理の仕組みを確認するGMP・QMS調査を行います。医療機器の申請区分は、構造・使用方法・効果・性能が明らかに新しい「新医療機器」、既承認品と実質的に同等な「後発医療機器」、どちらにも当たらない「改良医療機器」に分かれ、PMDAが公表している審査期間の目安は新医療機器12か月(優先審査品目9か月)、改良医療機器は臨床ありで9か月・臨床なしで6か月、後発医療機器4か月です。既承認品と構造・使用方法・効果・性能等が明らかに異なる医療機器や、有効成分・効能等が明らかに異なる医薬品の承認には、あらかじめ薬事審議会の意見を聴くことが必要です(14条12項、23条の2の5第12項)。

承認後も、新医薬品には再審査(14条の4)と再評価(14条の6)、医療機器には使用成績評価(23条の2の9)の制度があり、承認はゴールではなく市販後の評価を含む一連の仕組みです。2025年5月21日に公布された改正薬機法(令和7年法律第37号)では、希少・重篤な疾患を対象に探索的試験で一定の有効性・安全性が確認され、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認後の検証を条件として承認する「条件付き承認制度」の見直しが行われ、厚生労働省の公表では2026年5月1日に施行されています。開発初期からPMDAの相談制度を活用し、どの区分・どの資料で申請するかを固めることが審査期間とコストを左右します。

ポイント

承認審査で問われるのは「資料の中身」だけではなく、「資料がGCP等の基準に従って作られたか」と「製造所がGMP・QMSに適合しているか」の3点セットです。治験・臨床評価の計画、製造所の体制整備、申請書作成を同時に進める工程表が必要になります。

第三者認証と届出 ― 登録認証機関・基本要件基準・一般医療機器

厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器・管理医療機器・体外診断用医薬品(指定高度管理医療機器等)は、厚生労働大臣の登録を受けた民間の登録認証機関の認証を受けます(23条の2の23第1項)。認証の前提として、医療機器は薬機法41条3項に基づく基本要件基準(平成17年厚生労働省告示第122号)への適合が求められ、厚生労働省は適合性チェックリストを公表しています。登録認証機関は、申請者が製造販売業の許可を受けていないとき、製造所が登録を受けていないとき、品目が認証基準に適合しないとき、QMSの基準に適合すると認められないときは認証を与えてはなりません(23条の2の23第2項)。厚生労働省のページでは、現在10の登録認証機関が掲載されており、機関ごとに認証できる範囲が異なります。

一般医療機器は、製造販売をしようとするときに、あらかじめ品目ごとに厚生労働大臣へ届け出ます(23条の2の12第1項)。届出事項を変更したときは30日以内の変更届が必要です(同条2項)。届出だけで市場に出せる反面、基本要件基準への適合やQMS体制の整備は製造販売業者自身の責任で確保しなければなりません。

QMS省令・GMP省令・GQP省令の要点と適合性調査

医療機器と医薬品では、製造管理・品質管理の基準の組み立てが異なります。

省令対象主な内容適合性調査
QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令、平成16年厚生労働省令第169号)医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業者と登録製造所第2章にISO 13485に対応する品質管理監督システムの要求事項(管理監督者、設計開発、購買工程、製造、測定・分析・改善など)、第3章に日本独自の追加要件(国内品質業務運営責任者、不具合等報告の手順など)承認・認証時と取得後5年ごと(23条の2の5第6項・施行令37条の21、23条の2の23第4項・施行令39条)。基準適合証(23条の2の6)があれば同一区分の調査を省略できる
GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令、同第179号)医薬品・医薬部外品の製造業者(製造所)医薬品品質システム、品質リスクマネジメント、製造部門と品質部門の分離、製品品質の照査、供給者・外部委託業者の管理、出荷管理、バリデーション、変更・逸脱管理、品質情報・回収処理、自己点検、教育訓練、文書・記録承認時と取得後5年ごと(14条6項・施行令21条)。基準確認証(14条の2)があれば同一工程区分の調査を省略できる
GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令、同第136号)医薬品等の製造販売業者製造業者との取決め(7条)、ロットごとの市場への出荷の管理(9条)、品質情報・品質不良の処理(11条)、回収処理(12条)、品質保証責任者の設置(17条)製造販売業の許可要件(12条の2)として体制を確認

医療機器では製造販売業者と製造所をまとめて一つの品質管理監督システムで管理するのがQMS省令の考え方で、製造販売業者は国内に品質保証部門の責任者である「国内品質業務運営責任者」(品質管理業務等に3年以上従事し、販売部門に属さない者)を置き、国内に流通させる製品のロットごとの出荷判定などを行わせます(QMS省令72条)。医薬品では、製造所側のGMP省令と製造販売業者側のGQP省令が役割を分け、GMP省令は実効性のある医薬品品質システムの構築(3条の3)、品質リスクマネジメントの活用(3条の4)、原料等の供給者の管理(11条の4)、外部委託業者との文書による取決め(11条の5)まで求めています。

製造販売後安全管理(GVP省令)と承認後の義務

GVP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令、平成16年厚生労働省令第135号)は、製造販売業者を取り扱う製品のリスクに応じて3つに分けます。処方箋医薬品・高度管理医療機器・再生医療等製品の製造販売業者が第一種、それ以外の医薬品・管理医療機器・体外診断用医薬品が第二種、医薬部外品・化粧品・一般医療機器が第三種です(2条8項〜10項)。第一種製造販売業者は、販売部門から独立した安全管理統括部門と、安全確保業務等に3年以上従事した安全管理責任者を置き(4条)、医療関係者・文献・行政・外国政府や外国法人・他の製造販売業者等からの安全管理情報を収集・記録し(7条)、総括製造販売責任者の決定に基づいて安全確保措置を実施します(9条)。承認条件として付される医薬品リスク管理(RMP)や医療機器等リスク管理もこの枠内で運用されます(9条の2・9条の3)。

法律上の義務としては、製品の副作用・不具合によるものと疑われる死亡・障害等や感染症の発生を知ったときの厚生労働大臣への報告(68条の10)があり、報告期限は施行規則228条の20で事象の重さに応じて15日以内または30日以内と定められています。保健衛生上の危害の発生・拡大のおそれを知ったときは廃棄・回収・販売停止・情報提供などの措置を講じる義務(68条の9)、回収に着手したときの報告義務(68条の11)も製造販売業者が負います。製造販売後安全管理の方法は製造販売業の許可要件でもあるため(12条の2、23条の2の2)、不備は品目の問題にとどまらず許可そのものに波及します。

承認後の変更手続 ― 一部変更承認・軽微変更届・承継

承認を受けた事項の一部を変更しようとするときは、原則として変更について厚生労働大臣の承認(一部変更承認)を受けなければならず、厚生労働省令で定める軽微な変更に当たる場合に限り、変更後30日以内の届出で足ります(14条13項・14項、施行規則48条2項、医療機器は23条の2の5第13項・14項、施行規則114条の26第2項)。認証品目は登録認証機関の一部変更認証と軽微変更届(23条の2の23第7項・8項)、届出品目は30日以内の変更届(23条の2の12第2項)です。軽微な変更に当たるかどうかの判断を誤り、本来は一部変更承認が必要な変更を届出で済ませてしまうと、承認事項違反として無承認製造販売と同じ罰則の対象となり得ます(84条3号・5号)。

製造方法等の変更をあらかじめ計画として確認を受け、確認済みの計画に沿った変更を円滑に進める「変更計画の確認」制度(14条の7の2)も設けられています。2025年改正では、一部変更承認の手続について変更が中程度である場合の類型を設けることが盛り込まれ、公布後3年以内の施行が予定されていますので、変更管理の社内手順は今後の政省令の整備を見ながら更新する必要があります。

承認取得者の地位は、相続・合併・分割のほか、承認品目に係る資料等を譲渡したときに譲受人へ承継され、承継前に厚生労働大臣への届出が必要です(14条の8、医療機器は23条の2の11)。事業譲渡では承認の承継と製造販売業許可の両方を時間軸に組み込んで契約を設計します。

ポイント

承認後の変更管理は「変更の重さの判定」が実務の核心です。設計変更・製造所変更・原材料変更が起きたときに、品質部門と薬事部門が同じ基準で一部変更承認か軽微変更届かを判定し、記録を残す手順を作っておくことが、無承認製造販売リスクの最も確実な予防策になります。

よくある質問(FAQ)

承認と認証はどちらが先に決まるのですか?
製品の一般的名称とクラス分類で決まります。厚生労働大臣が基準を定めて指定した管理医療機器等は登録認証機関の認証、認証基準のない管理医療機器と高度管理医療機器は厚生労働大臣の承認です。クラスⅡでも認証基準から外れれば承認ルートになるため、まずPMDAの全般相談や登録認証機関で認証基準への該当性を確認してください。
一般医療機器なら審査がないので品質管理は不要ですか?
不要ではありません。届出のみで製造販売できますが、第三種医療機器製造販売業の許可要件としてQMS省令に基づく体制とGVP省令の製造販売後安全管理が求められ、基本要件基準への適合も製造販売業者の責任で確保する必要があります。
GMP調査やQMS調査はどのタイミングで受けますか?
承認を受けようとするときと、承認取得後5年ごとに書面または実地の調査を受けます(薬機法14条6項・施行令21条、23条の2の5第6項・施行令37条の21)。基準確認証や基準適合証の交付を受けている同一区分の工程・製造所については調査を省略できる仕組みがあります。
製造所を変更する場合、届出で済みますか?
変更が厚生労働省令で定める軽微な変更に当たる場合は変更後30日以内の届出で足りますが、それ以外は一部変更承認が必要です。製造所の変更は製造管理・品質管理に影響するため、軽微な変更に当たるかの判定を品質部門と薬事部門で共有し、判断の根拠を記録してください。
海外メーカーの製品を輸入する場合、承認は誰が取りますか?
国内の製造販売業者が自ら承認・認証を取得する方法と、外国製造業者が外国製造医薬品等特例承認・外国製造医療機器等特例承認(19条の2、23条の2の17)を取得し、国内の製造販売業者を選任する方法があります。承認の帰属は契約終了時の事業継続を左右するため、輸入販売契約の段階で決めておく必要があります。
副作用や不具合の報告期限はどれくらいですか?
製造販売業者は、副作用・不具合によるものと疑われる死亡や重篤な症例等を知ったときは施行規則228条の20の区分に従い15日以内または30日以内に厚生労働大臣へ報告します。販売代理店や医療機関からの情報が安全管理部門に届く経路と期限を手順書で定めておくことが重要です。

まとめ

  • 品目ごとの手続は、医薬品は原則承認、医療機器はクラスと認証基準の有無により承認(23条の2の5)・認証(23条の2の23)・届出(23条の2の12)に分かれ、いずれも製造販売業の許可と製造所の許可・登録が前提になる。
  • 承認審査では資料の中身に加え、GCP等への適合(信頼性調査)と製造所のGMP・QMS適合が確認され、医療機器の審査期間の目安は新医療機器12か月から後発医療機器4か月まで区分で異なる。
  • QMS省令は製造販売業者と製造所を一体で管理し、医薬品は製造所のGMP省令と製造販売業者のGQP省令が役割を分ける。適合性調査は承認時と5年ごと。
  • GVP省令は第一種〜第三種で体制の重さが変わり、副作用・不具合報告(15日・30日)、危害防止措置、回収報告は法律上の義務である。
  • 承認後の変更は一部変更承認か30日以内の軽微変更届で、判定の誤りは無承認製造販売と同じ罰則につながる。承認の承継は事前届出が必要。

当事務所は、医師免許と弁護士資格を併せ持つ弁護士を含む企業法務の弁護士チームで、承認・認証・届出のルート選択、製造委託先との取決め、変更管理の社内規程、承認の承継を含む事業譲渡契約まで支援しています。薬事と法務をまとめて相談できる窓口として顧問弁護士サービスをご検討いただき、個別の品目や変更について判断に迷われた段階でお問い合わせ(無料相談)からご連絡ください。チャット・オンラインで全国に対応しています。関連記事は医薬品・医療機器の分野別記事一覧からご覧いただけます。

参考(一次情報)
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この記事の執筆者
弁護士・医師 澄川 淳矢弁護士法人 越水法律事務所 弁護士・医師(第一東京弁護士会)

京都大学医学部卒業、倉敷中央病院での初期研修を修了した医師であり、弁護士。医療現場での経験を背景に、病院・クリニック・介護事業者・医薬品・医療機器・ヘルステック企業の法務について、医療の実態を踏まえた実践的な助言を行う。

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越水 遥
この記事の監修者
代表弁護士 越水 遥弁護士法人 越水法律事務所 代表弁護士(第一東京弁護士会)

大手法律事務所を経て越水法律事務所を設立。企業法務全般、M&A、ファイナンス、スタートアップ支援を手がけ、東証グロース上場企業の社外取締役も務める。医療機関・ヘルスケア企業の顧問として、経営の視点を踏まえた法務支援を行う。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言・医学的助言ではありません。法令・制度・通知の内容は公開日時点のものです。具体的なご対応にあたっては、最新の法令・通知をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。

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